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マリーのお試し
わたくしはベッドで手足を絡ませて唸っていました。そう、美容のためのストレッチですわ。貴族社会ではあまりにも淫らな格好になってしまうので、一人になれるこの時間しか出来ないのが悩みですわ。
わたくしはふと、寝ドレスからはみ出た自分の腿に目を止めました。あの時ジュアスがこの腿を撫でて…。そこまで考えて、わたくしはハッとしました。最近、こんな事ばかり考えてしまって、わたくしはきっと行き過ぎたお試しの虜になってしまったのかもしれません。
もしかしたらジュアス以外の殿方とも、そこまで試した方が良いのではないかしら?ジュアスはダメだと言ったけれど、こっそり試す分には大丈夫かしら。でもジュアスの言うように、もし殿方が止まってくれなかったら?わたくしは純潔を散らしてその方と結婚する事になってしまいますわ。ああ、ジレンマです。
女学院でわたくしたちは妊娠しやすいアレコレばかり勉強しましたけれど、反対のことについては教えてもらっていません。でも考えようによっては逆の方法をすれば妊娠を避けて、万が一に備えて、行き過ぎたお試しも試せるのでは無いかしら?
そう考えると、わたくしはもう居ても立っても居られなくなりました。後から考えると、わたくしは頭の中を占めるジュアスのあれこれから逃れたかったのかもしれません。
翌朝、わたくしは早速家に届いていたお手紙のひとつを選ぶとお返事を出しました。私はバイオリズムの良い時期を選んで会う事にしたのです。これで妊娠の危険は減ったのではないかしら?まぁ一応の危機管理ですわ。
「今日も一段と美しくて、僕の心は締め付けられて苦しいほどだ。」
わたくしの手の甲にそっと口付けるのは、ワークス侯爵家の次男ロビン様ですわ。ジークおじ様の秘密の夜会でエスコートしてくださった白騎士の殿方。柔らかな明るい茶色の髪は後ろで止められていて、若葉のような明るいライムグリーンの瞳がとても綺麗。流石に騎士だけあって、素晴らしい肉体美ですわ。ああ、触ってみたい。
「ロビン様、いつも贈り物やお手紙をありがとうございます。今日はわたくしの我儘を聞いてくださってありがとうございます。」
わたくしはロビン様の美しい瞳に見惚れながら微笑みました。ロビン様は少し頬を赤らめながらにっこりしました。何て可愛いのかしら。わたくしは今までに持った事のない気持ちが湧き上がるのを感じました。
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