心を差し出す

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心を差し出す

「マリー、招待してくれて嬉しいよ。君はもっと色々な相手とお試し中かと思って、遠慮していたんだ。もちろん最終的に私を選んでくれると信じているよ? でも、君が迷いなく私を選んでくれるように、お試しは存分にする方がいい。君の自由を尊重して、我慢しているんだ。 我慢した甲斐があったかな?」 私は目の前のジュアス様に、思い切って言いました。 「ジュアス様。ジュアス様は経験豊富ですからお試しを、それこそ飽きるまでしてきた事と思います。ジュアス様はわたくしにキスまでと仰いましたけれど、ジュアス様はそうでは無いでしょう? それは不公平ではございませんこと?」 ジュアス様は、私の言った言葉をじっくり考えているようでしたが、ため息をつくとお尋になりました。 「…マリー、確かに君にキスまでと言った。でもそれは万が一相手を見極める前に、結婚する羽目にならない様にという私のアドバイスなんだ。 もちろん私も正直に言えば、君のその甘い反応を他の輩に見せたく無いという勝手な気持ちもある。マリーは他の男とも、私と一緒に経験したアレをしてみたいのかい?」 私は、ジュアス様に何と答えたら良いか迷いました。うっかり、いえ、意識的にキス以上まで進んでみたと。その結果ジュアス様ほどでは無いけれど、うっとりした経験を得られたのだと。 こんな事をジュアス様に正直に話したら、きっと席を立ってもう二度とわたくしの前に現れないかもしれないわね。そうであったら、それだけの事なのかしら? でもわたくしは、こんなあれこれを率直に話せるのはジュアス様以外には居ないわ。もしわたくしの全てを受け入れてくれる人が居るのなら、それはジュアス様なのかしら? 「マリー?」 私はジュアス様を真っ直ぐ見つめながら言いました。 「実はわたくし、ある方とキス以上の事を経験しました。純潔はもちろん守りましたが…。多分ジュアス様の手解きが良すぎて、もっとお試ししたいと欲深くなってしまったんだと思います。 ジュアス様ほどの手練れでは無かった様に思いますけれど…。わたくしは運命の相手としか、感じあうことが出来ないと思っていたんです。 でも、そんなことは無かった。わたくしはすっかり迷ってしまいました。何が正解なのか、運命なのか判断できなくなってしまったんです。」
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