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プロローグ
サバイバルゲーム。
略してサバゲーと呼称されるこのゲームが、疑似体験戦場ゲームとして世に出始めたのは1960年頃だと言われている。
元々はチャンバラのように子供がお遊びでやっていたものだが、いつしかその遊びの主役は子供だけではなくなっていった。
2000年初期においては、サバイバルゲームは一般にも深く浸透。
体験型だけではなく、テレビゲームやアプリとなり、誰しもが知る時代が到来する。
そして時は流れ、2035年。
未だサバイバルゲームの熱は冷める事はなく、更に進化していった。
それこそがサバゲーの次の段階。
サバイバルゲームを進化させた世界共通の競技。
『サバイバル・ウォーゲーム』である。
サバイバル・ウォーゲームとは読んで字の如く、戦争に昇華させた、最早ゲームとは言いがたいものだ。
とはいえ、基本的なシステムはほぼ同じ。
銃は魔改造不可。
銃弾はゴム弾。
直接的な暴力は禁止、などなど。
なら何が違うのか。
それは、サバイバル・ウォーをするに当たってエントリーする方法である。
古きよきサバゲーなら、知人などで集い、仲間内や別チームと対戦するのが主流。
しかしこの時代のサバゲーは違う。
チームは独立の存在ではない。
学校、会社、組織に属する歯車の一つなのだ。
そう、いわばサバイバル・ウォーとは各組織を一つの軍とし、その組織の為に戦うゲーム。
政治的、経済的な側面を持つ、一大エンターテイメントとなっているのだ。
そんなサバイバル・ウォーが何故これほどまでに浸透しているのか。
その理由は酷くシンプル。
勝者には様々な権利が与えられるからである。
挙げればキリが無いが、例えるなら……。
銀行から少ない利子での融資が可能となったり、他校、または他社の優秀な人材をヘッドハンティングする事が出来るようになるのだ。
このシステムのお陰で、どれだけ弱小な組織でも勝てば官軍。
人材や資金を確保する事で、一大企業や学校になるのも夢ではない。
その具体的な会社として挙げられるのは、やはりあの会社しかないだろう。
『逸見工業株式会社』だ。
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