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逸見工業は最初こそ弱小も弱小。
社員は三人、社の年収は少なく、給料を払うのがやっとの生産工場。
しかし、ある男の登場により一変。
ある一人の男の活躍により、今や知らない者の方が少ない大会社へと成長を遂げたのだ。
それこそが世界ランキング一位を持つこの男。
「一ノ瀬…………終わりにしろ。 制限時間は三分だ」
「了解」
一ノ瀬遥希である。
一ノ瀬は次世代バーチャルリアリティシステムと、ARシステムを掛け合わせた電子インカム越しに社長に返答をする。
そして次の瞬間。
自社のヘリから、VARグレネードが投下。
敵陣のVARで構築された2.8次元の城壁が破壊されるや否や。
「殲滅を開始する」
爆煙に紛れながら、アサルトライフルを手に敵陣に突っ込んだ。
「くっ……。 な、なにが起きた……。 どうして我が社の壁が木っ端微塵に…………ぐわ!?」
「か、係長! 係長が撃たれたぞ! みんな、警戒を厳に……がは!」
煙の中から正確に放たれた、VAR銃弾がアーマーを着こんだ社員二人の電子ヘルメットを貫通。
あっという間に二人は脱落する。
だが一ノ瀬の猛攻は止まるところを知らない。
「三……四、五、六」
「ひいい!」
「うわああ!」
抗戦する者、逃げ惑う者、怯える者。
その全てに対し、一ノ瀬はトリガーを引いていく。
「こ、これがあの一ノ瀬遥希だと言うのか……。 しかし私も社長の端くれ! このままむざむざやられる訳にはいかん!」
しかし最後の砦である五十手前の社長が両手にアサルトライフルを持って抵抗。
「塵となれえ! ガハハハハ!」
二丁のアサルトライフルから何百発もの銃弾の雨が降る。
が、一ノ瀬にそんな攻撃は通用しない。
「ガハハハハハハハ! 流石にこれでは奴も…………な、なんだと!?」
「フッ」
社長は驚きを隠せない。
何故なら一ノ瀬はあれだけの銃弾の嵐を物ともせず、ゆっくりと向かってきているのだ。
まるで全ての銃弾を目視しているが如く。
「ば、バカな! あれだけの銃弾の中をどうやって……! やはりあの噂は本当だったのか! 一ノ瀬遥希……貴様は!」
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