斑鳩サバゲー部

3/4
前へ
/10ページ
次へ
「ざーんねーんでーした! の腕も、あたしの方が上みたいね!」 「ぐぬぬ……。 けっ! か、カスタムしたくらいで偉そうに! こっちのは、あの一ノ瀬さんが愛用してる同タイプの【M6カービン】なんだよ! カスタムなんて必要ないもんね!」  本当は羨ましいのに負け惜しみを言いながら、アサルトライフルを組み立てる焔李。  そんな彼をニヤニヤと眺めながら、楓はボソリと。 「負け犬の遠吠えで草」 「………………」  焔李は完膚なきまでに敗けを喫した。 「えんちゃん、えんちゃん……。 こっち来て……」  言い負かされてソファで不貞腐れていると、部室の角に置かれている、大人三人は入れそうな段ボールから声が届く。  当然ながら、段ボールが喋っている訳ではない。  焔李に話しかけたのは、この中の住人。  斑鳩サバゲー部部長、柊鈴(ひいらぎすず)である。 「なんすか部長、俺いま楓に虐められてナイーブなんすけど」 「虐めとらんわ。 人聞きの悪いこと言わないで」  のそのそと段ボールの前に胡座をかいた焔李の言葉に、楓がツッコミを入れる。  そこへ時を同じくして、段ボールの穴から垂れるカーテンの隙間から、女の子特有の色白で華奢な腕が伸びてきた。   その手には焔李のサイドアーム。  楓のハンドガンとは真逆の漆黒ベースのハンドガン、グロッグサードが握られている。   「俺のグロッグじゃないっすか。 整備してくれたんすか?」 「んーん、違う……。 えと……カスタム……した」  鈴はそう言いながら、グロッグを焔李に手渡す。  
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加