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「ざーんねーんでーした! こっちの腕も、あたしの方が上みたいね!」
「ぐぬぬ……。 けっ! か、カスタムしたくらいで偉そうに! こっちのは、あの一ノ瀬さんが愛用してる同タイプの【M6カービン】なんだよ! カスタムなんて必要ないもんね!」
本当は羨ましいのに負け惜しみを言いながら、アサルトライフルを組み立てる焔李。
そんな彼をニヤニヤと眺めながら、楓はボソリと。
「負け犬の遠吠えで草」
「………………」
焔李は完膚なきまでに敗けを喫した。
「えんちゃん、えんちゃん……。 こっち来て……」
言い負かされてソファで不貞腐れていると、部室の角に置かれている、大人三人は入れそうな段ボールから声が届く。
当然ながら、段ボールが喋っている訳ではない。
焔李に話しかけたのは、この中の住人。
斑鳩サバゲー部部長、柊鈴である。
「なんすか部長、俺いま楓に虐められてナイーブなんすけど」
「虐めとらんわ。 人聞きの悪いこと言わないで」
のそのそと段ボールの前に胡座をかいた焔李の言葉に、楓がツッコミを入れる。
そこへ時を同じくして、段ボールの穴から垂れるカーテンの隙間から、女の子特有の色白で華奢な腕が伸びてきた。
その手には焔李のサイドアーム。
楓のハンドガンとは真逆の漆黒ベースのハンドガン、グロッグサードが握られている。
「俺のグロッグじゃないっすか。 整備してくれたんすか?」
「んーん、違う……。 えと……カスタム……した」
鈴はそう言いながら、グロッグを焔李に手渡す。
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