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「ね、ねえ……喋ってないでさ、早く僕のお父さんを復活させてくれよ……お金が必要なら、いくらでも出すから」
潤んだ瞳を向けてくる少年に、アガレストは言った。
「それは、無理な話だね……だって、さっきのは我の吐いたただの嘘にすぎないのだから……つまり、我には死者を蘇らせる能力など無い。しかし、君の親をあの世へ招いたのは、我で間違いないよ」
「な、何だって……お前、僕で遊んだなーー。この、冷酷な悪魔めー。……お前なんか、僕が倒してやる。おりゃーーーーーーっ!」
拳を振り上げ、勢いよく迫ってくる少年の攻撃をかわし、アガレストは大声で笑う。
「クックックックックックックーーーー。ああ……笑いすぎて、お腹が痛いよー。ククッ……やっぱりねー。やっぱり、君もこうなるんだー。人間なんて皆、等しく知能が低いね」
「……な、何なんだよ……それは、あんな事を言われたら、カッとなって当然だろ?」
「そうだねー君達人間は、やはりごく僅かな情報を得ると、その足りない脳で君らなりに考え、間違った答えを導き出してしまうものだよ」
訳の分からぬ様子の少年に、アガレストは悪戯っ子の様な笑みを浮かべて説明する。
「……あそこで、我が嘘を並べれば、君がまた我に対する態度をガラリと変えるだろうと思ったからねー。ちょっと、意地悪をして君で遊んでいたんだよ」
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