第二章 命の消失

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 少年から返ってきた言葉に、舌なめずりをすると、アガレストは足元の男性の遺体へ手を伸ばす。 「ククッ……君の気持ちは、よーく分かったよ……ほら、君の大好きなお父さんだよ」    横たわっていた男性の体の傷が治り、男性は目を覚ますと不思議そうにしていた。 「……んっ? 俺……生きていたのか」 「グスン……お、お父さーーんっ! 良かった……本当に、良かったよー」    蘇った父親に抱きつき、少年は子供の様に泣いた。そして、少しずつ心が落ち着いてくると、少年はアガレストへ丁寧に頭を下げる。 「悪魔さん……お父さんを、救ってくれてありがとう。君は、悪魔なんかじゃなく神様だよ」 「人間というのは、不確かな情報に操られてしまうから、これはかなり宜しくない事だねー。いいかい……一つの物事に、思考を左右されない方がいいよ。我は、君にとっても決して神ではない……決してね。これでまた、どこかで命が消えていったよ」    アガレストは気味の悪い笑みを見せると、少年の前から姿を消した。
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