第三章 復讐の瞬間

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「人間は皆、僕を見ると君の様な反応をするよ。きっと、無理矢理にでもそうだと決めつけて納得したいのだろうねー」 「だって……これは、貴方の仕業以外に考えられないわ。彼はさっきまで、とても元気だったのよ? こんな不自然な死に方、普通じゃあり得ないのよ」    青年の頬をそっと撫で、花嫁は悔しそうに嘆いた。 「結婚の間近に、突然死……世ではこの現象を、心臓発作だとか言って片付けてしまうのだろうけど……君の言う通り、彼の死は不自然だよねー」 「貴方……彼の死因について、何か知っているの?」 「うんうん、知っているとも……それに、我は死者蘇生する能力があるから、君の望みを叶えてあげられるよ」    アガレストがそう発すると、花嫁は潤んだ瞳を輝かせて彼に必死に頼む。 「それは、本当? それなら今直ぐ、彼を蘇らせてほしいわ……何かお望みなら、何でもするからお願いよっ!」 「クククッ……お安い御用だよ。でも、その代わり、誰かの命と引き換えにしか彼を蘇らせてはあげられないよ?」    赤々とした目を細めるアガレストに、花嫁は尋ねる。 「それって……彼が生き返れば、誰かが犠牲になると言う事?」 「その通りさ……君は、彼の代わりに誰かが苦しんでもいいのー?」
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