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第四章 悪魔の企み
狭く散らかった自室の壁にかけられた、カレンダーを眺め、童顔の少年は嬉しそうに微笑んでいた。
「ああ……後、一週間で冬休みかー。家族旅行、楽しみだなー。……お父さんが生き返ってくれたから、皆で楽しく出かけられるし」
少年がそう独り言を呟いていると、彼の部屋にいきなり邪悪な姿をしたアガレストが現れた。アガレストを見上げて目を丸くさせている少年に、アガレストは不気味に笑いかける。
「やあ、また会ったね……お父さんは元気かい?」
「き、君は……あの時の悪魔君。この前は本当に、ありがとう……おかげで、お父さんは元気に生きてるよ」
アガレストを見るなり、少年は笑顔で彼に礼を言った。
「ククッ……それなら何よりだよ。人間は脆い生物だから、交通事故とかには気をつけた方がいい」
「本当だね……ねえ、ちょっと待っててよ悪魔君……今から、お菓子を持ってくるから」
部屋から出ようとする少年を、アガレストが止める。
「その必要は無いよ。我は今日、君に用があって来たんだけど……直ぐに済むからね」
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