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「そうなの? ……それで、僕に何の用?」
「……まず、君に教えてあげないといけない事がある……気の毒だけど君、家族と家族旅行には行けないよ。君は、他に向かわないといけない場所があるからね」
アガレストの言葉に、少年は不思議そうに首を傾げる。
「……えっ? どうして、僕だけ行けないの? 向かわないといけない場所って……どこ?」
「地獄だよ地獄……君はこれから直ぐ、地獄に行くのさ」
「じ、地獄だって? ……何も悪い事してない僕が、何で地獄になんか行かなくちゃいけないんだよ」
恐怖の表情を顔に出し、少年は不満そうにアガレストに尋ねる。
「クククッ……実はね、ある人間に君を殺してと依頼されたんだよ」
「……ぼ、僕を殺せだって? そんな事、誰に頼まれたんだよっ!」
「ふんッ……君は誰かの命と引き換えに、親を蘇らせたね?」
不安げに頷く少年に、アガレストは真実を告げる。
「だから当然、君が親を生き返らせたせいで、誰かが死んでしまったのだよ……その被害者は、花嫁に愛を誓った若い男性だった。最愛のフィアンセを失い、嘆き悲しんでいる花嫁に我は、君の親を蘇らせた時と同じ条件を話したんだ……そうしたらね、彼女は勘が鋭くて、どこかの誰かが彼の命を奪ったのではないかと気づいてしまったんだよ」
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