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「ううっ、そんな事があったなんて、知らなかった……気づけなかった……私が気づけていたら、こんな事には……ならなかったのに」
我が子を失い、悔しそうに嘆く女性を、背後から眺めている者が居た。
床からすり抜ける様にして現れたのは、頭に鋭く尖った角を生やし、漆黒の手と羽が合体している、紫色の髪の少年だった。
「ちょっとー、そこの君……とーっても悲しそうだねー。大丈夫?」
赤々と光った不気味な目で女性を見つめ、彼は不気味な笑みを浮かべる。
「きゃっ……あ、あなたは誰なの? どうやって、ここに入ってきたの?」
「ククッ……よくぞ聞いてくれたね。僕は、アガレスト……正真正銘の悪魔さ」
驚きと恐怖を露わにする女性に、アガレストと名乗る悪魔は堂々と答えた。
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