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「……えっ? い、意味が分かんないよ。僕は人間だし……それに、僕の身近にそんなおっかない生き物は全く居ないよ?」
「ククッ……それでは聞くが、この世で生命の命を奪い、傷つけ苦しめ地獄を作り上げてしまっているのは、どんな存在か分かるかーい?」
ゆっくりと少年に近づきながら、アガレストは彼に問いかけた。
「そ、そんなの……お前らみたいな、邪悪な悪魔に決まってるだろっ!」
「クククククッ……残念ながら、それは不正解だよ。正常者の仮面を被って生活している人間こそ、真の悪魔さ。人間は、悪魔と同類な存在だよ……いや、悪魔よりも悪魔さ。争い奪う事で自らの幸せを掴み、命を呪っては笑顔で暮らしている。君達人間こそ、この世で一番恐ろしく醜い生き物だよ」
後退りする少年を、アガレストは嘲笑った。
「ちょ、ちょっと……こっちに来るなよっ! 人間でも、いろんな種類が居るよ。確かに、君の言う様な野蛮な人も居るけど……人を救って、皆に希望や勇気を与えている天使みたいな人だって存在してるんだからね」
「それも結果、自分の為にしている行動さ。どんな綺麗事を並べようと、人間は皆、自分の事しか考えていないのさ。天使も悪魔も、元は同じ生物だからね」
アガレストはそう口にすると、少年の体から半透明な少年を引っ張り出した。
魂を抜かれた少年の肉体は、床へ崩れ落ちる。その魂の姿となった彼の腕を、アガレストは力強く掴んだ。
「さあ、我と一緒に地獄へ来てもらうよー」
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