第一章 魂の犠牲

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「ククッ……いいよー。ただし、君の子供が蘇る代わりに、どこかのみ知らぬ誰かが死ぬ事になる。つまり、誰かの命と引き換えの条件という事だよ……君は、それでもいいのかーい?」    意地の悪い表情でアガレストがそう問うと、女性は即答する。 「はいっ! 誰が死んでも構わないから、我が子を生き返らせて下さい……お願いしますアガレスト様っ!」    さっきとガラリと態度を変え、女性はアガレストに向かって深々と頭を下げる。その姿は、まるで神でも崇めている様だ。 「クックック……数秒前まで我に殺意を剥き出しにしていた人間が、今では子供の為にと我に頭を垂れている……人間って、本当に単純で面白い生き物だな」    おかしなモノでも見る様な目を女性に向け、悪魔は質問を続ける。 「君と同じく辛い思いをする人間が、君の願いを聞く事で増えてしまう訳だけど……本当に本当に、君はそれでもいいと言うのかい?」
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