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第二章 命の消失
冷え込んだ街の中、血塗れの男性が道路で倒れていた。びくともしない男性に寄り添い、あどけない顔をした高校生くらいの少年が泣き喚いている。
「うわぁーーーー。お父さーーーーん……嘘だこんなの嘘だーーっ! 目を覚ましてよっ! しっかりしてよお父さーーーーーーんっ!」
「おやおやー? これは、交通事故だねー。ねえ……君、我に助けてほしいかい?」
アガレストは、ここにも現れた。突如、目の前から話しかけてきた異様な外見をした少年に、少年は鼻をすすりながら語り始める。
「だ、誰……か知らないけど、そうだよ助けてほしいよっ! さっき僕、事故に遭ったんだけど……お父さんが、轢かれそうになった僕を庇ったんだ。もう直ぐ救急車が来るけど、下半身が潰れちゃってるから……でも、まだお父さんは助かるかなー?」
「いいや、君のお父さんは既に死んでるよ……ただね……」
アガレストの話を遮り、少年は声を荒げる。
「う、煩いっ! 医者でもない素人に、何が分かるんだっ! 勝手な事言うな……お父さんは、絶対に生きてるっ!」
「人間は、本当に無能な生物だよね。人の話も、最後まで聞けない上に誤解して怒り出すなんて……我、悪魔になれて良かったなと心から思うよ」
ため息交じりにそう発するアガレストに、少年は首を傾げる。
「……あ、悪魔? ……君、あの悪魔なのか?」
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