第二章 命の消失

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「そうさ……僕をどう見ても、君達みたいな下等生物には見えないと思うけどねー」    見下す様に返事をするアガレストを、少年は睨みつける。 「悪魔って事は……お前が、お父さんを殺したのか?」 「クックックックック……君達、人間って大馬鹿者だねー。君さー、この目で彼が車に跳ねられる所を見てた訳でしょー? 加害者は居ない様だし……どうやらこれは、完全なひき逃げの様だね。まさか、その罪を通りすがりの悪魔になすりつけようっていうのー? 君は見かけによらず、恐ろしいねー」    アガレストが楽しそうに笑うと、少年はボソッとした声を出す。 「た、確かに、僕のお父さんを轢き殺したのは人間だけど……でも、悪魔なら、死を招く様な不幸を人にぶつける力だってあるんだろ?」 「それは、勿論だよ。なんたって、我は優秀な悪魔なんだから」 「この悪魔めーっ! よくも、僕のお父さんをやったなー。お前は絶対に、許さないぞーーっ!」     いきなり殴りかかってきた少年を避け、アガレストは苦笑いをする。 「ちょっと、笑わせないでよね……どこまで、人間は無能なんだ。少し得た情報量だけで、偽りの真実を信じ込み、体を動かしてしまうとは……こんな生物だらけが仕切る世だから、全く成り立たない訳だー。争い事も絶えず、国の抱える問題も減るどころか増えていく一方さ」
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