16人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうさ……僕をどう見ても、君達みたいな下等生物には見えないと思うけどねー」
見下す様に返事をするアガレストを、少年は睨みつける。
「悪魔って事は……お前が、お父さんを殺したのか?」
「クックックックック……君達、人間って大馬鹿者だねー。君さー、この目で彼が車に跳ねられる所を見てた訳でしょー? 加害者は居ない様だし……どうやらこれは、完全なひき逃げの様だね。まさか、その罪を通りすがりの悪魔になすりつけようっていうのー? 君は見かけによらず、恐ろしいねー」
アガレストが楽しそうに笑うと、少年はボソッとした声を出す。
「た、確かに、僕のお父さんを轢き殺したのは人間だけど……でも、悪魔なら、死を招く様な不幸を人にぶつける力だってあるんだろ?」
「それは、勿論だよ。なんたって、我は優秀な悪魔なんだから」
「この悪魔めーっ! よくも、僕のお父さんをやったなー。お前は絶対に、許さないぞーーっ!」
いきなり殴りかかってきた少年を避け、アガレストは苦笑いをする。
「ちょっと、笑わせないでよね……どこまで、人間は無能なんだ。少し得た情報量だけで、偽りの真実を信じ込み、体を動かしてしまうとは……こんな生物だらけが仕切る世だから、全く成り立たない訳だー。争い事も絶えず、国の抱える問題も減るどころか増えていく一方さ」
最初のコメントを投稿しよう!