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「……偽りの真実? どこが、違うって言うんだよ教えろっ!」
「どこが違う……か……半分正解で、半分不正解さ。我には確かに、人の命を奪う能力がある……だが、君のお父さんを我が死へ導いた訳ではないという事だ。それに、我は親を亡くした、憐れな君に救いの手を差し伸べているんだよ……分かるかーい?」
少年はピタリと動きを止め、アガレストに尋ねる。
「僕を……救いに? それなら、君はお父さんを助けてくれるの?」
「そうだよ……まあ、正確に言えば、僕が君の親を蘇生させてあげるという感じだけれどね」
アガレストのその言葉で、少年は彼に向かって手を合わせると、必死に頼み出す。
「……何でもするから、お父さんを生き返らせてっ! お願いだよ……この通りさ」
「ククッ……君達人間はさ、我を神だと勘違いしていないかーい? 我は、悪魔だと言うのに……それにしても、人間はなんて単純なんだろう。ほんの一握りの言葉に流され動かされ、自分の立ち位置や対応をコロコロと変えていくだなんて……それが、弱い生物が生き残っていく為の悲しき方法だというのかー」
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