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「キリオ!」  意識がはっきりしてきたティアは、自分の膝の上で苦しそうにしている霧尾に声を掛ける。 「君は、自由になりなさい。僕もまた、彼らと同じ過ちを犯した。君はもっと喜びを知り、愛を知り、そして愛する人を見つけて、本当の幸せを知る権利がある。研究の為と、世界を救う為と称して、僕たちは君を研究材料に貶めた。すまなかった。もっと早くに、こうしていれば、君を苦しめずに済んだ」  そこまで口にすると、霧尾の顔に、何かが落ちた。  ティアの涙だ。  けれど見上げた空には、雨雲など一つもなく、薄っすらと虹が架かっているのが分かった。  脱出用のヘリに載せられ、ティアは行ってしまう。  その姿を最後の瞬間まで見送ろうとしたが、霧尾の意識は軽くなり、空へと吸い込まれるようにして消えてしまった。(了)
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