0人が本棚に入れています
本棚に追加
『化けの皮』
ジャンル:サスペンスホラー
考案理由:以前Wikipediaで、ペドロ・アルモドバル監督の映画『私が、生きる肌』のあらすじを読んで(映画自体は未見)、それをヒントに話を作ってみた。自身の大切な人(映画では主人公の娘)を傷つけた男を性転換させるという物語の肝となる部分は同じだが、それ以外はこちらが考えた物である。
あらすじ
物語は、主人公で小説家志望の会社員「僕」が体験した、ある出来事についてである。
僕はある日、上司の家に招待され食事を御馳走になる。仕事も完璧に熟し、周りからも慕われ、岬に大きな家を持ち、そして美人の妻もいる。
そんな上司を尊敬する僕だったが、あるきっかけでその上司が妻に体罰を与えている所を目撃してしまう。
仲睦まじい感じに思えた二人のただならぬ秘密に疑問を覚えた僕は、好奇心からその謎を解こうと調べることに。
その内に僕は、上司の妻は二人目であること、最初の妻は交通事故で亡くなったこと、失意の中 旅に出た上司が旅先で亡くなった妻と瓜二つの女性(現在の妻)と出会ったことを知る。
そして上司の最初の妻が亡くなったという交通事故を調べると、どうもその事故は当時上司が住んでいた辺りに住んでいた富豪のドラ息子が起こしたものであり、彼は親の力を使って無罪放免になったという。
そしてそのドラ息子は、上司が旅に出る直前から行方が分からなくなっていると聞いた僕は、彼が現在の妻と出会った国、タイへと向かう。
そこで僕はある「恐ろしい考え」に達する。しかし帰国後、僕は上司に捕まって監禁されてしまう。
~ここからネタバレ~
監禁された上司の家の地下で、僕は同じく縛られた彼の妻の姿を目撃する。
上司は僕が何を調べ、何を理解したのかを聞きたいと僕に投げ掛けたので、僕は自分がこれまで調べてきたことを語る。
あの交通事故で当時の妻を亡くした上司は、事故を起こした富豪のドラ息子を訴えたが、結果は敗訴。
ドラ息子とその親が金の力で犯罪をもみ消そうとしたのだ。これがきっかけで、上司の心は完全に崩壊する。
彼は自分の妻を殺したドラ息子に死よりも重い罰を与えたのだ。
旅に出る直前に、バーで酔いつぶれていたドラ息子を介抱するフリをして誘拐。そのままタイへと連れて行った。
そして彼はそこで、ドラ息子を性転換手術し、亡き妻そっくりに整形まで施したのだ(タイは性転換手術が盛んで技術もあるからだ)。
性転換され「上司の妻」となったドラ息子は、毎晩 生前の妻が行なっていたこと、ルールを叩きこまれ調教されていったのだ(あの日見た体罰は、その一環だった)。
僕の調べたことを聞き終えた上司は、まるで子供が書いた作文を一生懸命読み終えたように拍手し称賛する。
その後 上司は妻となったドラ息子とはそろそろ手を切ろうを考えていること、すでに目をつけている別の人物を妻の代わりにしようとしていること、
そしてその人物が僕だということを打ち明ける。
これを聞いた僕は、彼の心は完全に壊れ誰が何を言っても修復不可能という事実に打ちのめされる。
上司が目を離した隙に、僕は元ドラ息子である彼の妻と協力して脱出を図る。
しかし上司との攻防の末、家が火事になってしまう。僕は逃げ出すが、もう自分は元には戻れないと言ったドラ息子は、上司と共に火の海に飲まれていった。
こうして家は全焼し、上司と彼の妻もといドラ息子も焼死体となって発見され、事件はあくまで火事と判断された。
数か月後、僕は会社をやめ、この事件を元に小説を書いた。
何故この忌まわしき事件について敢えて書いたのか?
それは、「どんな人間にも、心が完全に崩壊し闇に落ちて行くことがある」ということを忘れないために、そして今一度 他の人にも知って欲しいと感じたからである。
僕が小説のあとがきに このことを書いて物語は幕を閉じる。
終
参考・引用・参照
Wikipedia『私が、生きる肌』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%81%E3%81%8C%E3%80%81%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%82%8B%E8%82%8C
Wikipedia『ペドロ・アルモドバル』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%83%89%E3%83%90%E3%83%AB
タイで性転換手術が盛んな理由はこちらのサイトを参照
https://www.gohongi-clinic.com/k_blog/455/#i-2
https://okusuri-labo.com/sexchange.php
最初のコメントを投稿しよう!