才能の管理人

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 持っていた歯車を、もう1人に見せた。歯車の中心にあるタネは、開花までもう一踏ん張りと言ったところだろうか、しかし、その歯車は酷くサビつき、所々キズや欠けがあり到底使い物になりそうではない 「えぇ、こんなガラクタの一部みたいなのを、新しく生まれてくるヒトに入れるんすか」 「そう言うと思ったよ」  歯車を渡した方は、ニヤニヤしている。いや、ニヤニヤしている様に感じているだけ。1人はすぐいつもの表情に戻し、真面目な話を進める。 「歯車のサビやキズの具合は、そのヒトの努力と比例する。だから、そのヒトが世の中でどれだけ努力して、評価されなかったとしても、最後に私たちが今までの努力を評価し、次に繋いでいかなければいけない」 「いや、でもこの歯車入れても、ちゃんと動くかビミョーじゃないですか」 「動きます。歯車はどれだけサビていてもキズがついていても、タネが開花して、枯れるまで歯車としての役割を最後まで果たします」 「枯れるまでって......」 「はい、開花したハナが枯れたら歯車は止まり、崩れ、消えていきます。ヒトを動かす歯車が無くなる事、つまり死を迎えます」 「じゃあ、今から俺たちがこの歯車を入れに行くヒトは......」 「そうですね、よほど置かれた環境が悪くない限り才能が開花するまでの期間は比較的短いでしょう。しかし、歯車の具合から、才能を発揮できる期間も短い」  少し、言葉を探すように黙ってから、再び話し始める 「まぁ、才能あるヒトは短命の傾向があるって言いますしね」 「いや、◯さん全然オブラートに包めてないっすよ」  お互い鼻で笑った 「あ、そうそう、さっき俺たちがこの歯車を入れに行くって言ってましたけど、もうではありません。これからその歯車を入れに行くのはあなただけです」 「え?」 「今日で見学は終了です」 「は? いや、俺歯車の入れ方とか教えてもらってないっすよ」  1人は、焦った表情を見せる
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