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帰還
ブン。
「あいたたた…あれ、ここは?」
尻もちをついたユウヒが、ペタの魔法で送り返された先は、地元の岐阜の山奥にある氷尾神社だった。
「ユウヒー?何してるの?こっちこっち!」
友だちが大声で彼女を呼ぶ。
そうか、思い出したぞ。
花火大会に行っていたんだ。その途中で急に頭がクラっとして…気づいたらあの『グリーントラベル号』の中にいた。
なぜ自分が『エルバートストン』という遠い国に誘われたのかはまるで謎だ。しかし、それも必然だったのかもしれない。ペタの言っていた通り"助っ人"として、彼ら国民を独裁者ゼムトの無謀な安楽死計画から守り抜くために。
「今行くー!」
ユウヒは友だちの方へ駆けていった。
ドドーン。
打ち上げ花火の音が、辺りに響き渡る。
ラッセル駅で見た花火も、色とりどりですごくきれいだった。
"夏の夜"。
ユウヒは花火を見るたびに、15歳の夏のあの冒険を思い出すことだろう____。
《完》
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