Stop,Watch,Me

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 今では身勝手な人だと思う。本当は私のことなんかちっとも見てなかったんだなと思う。  ストップウォッチはまだ時を刻んでいた。帰ってくることのない人を待っていた。  だから、私はストップウォッチを止めた。  そのとき、世界が止まった。  私の世界が止まった。  雨粒は制止し、音は止み、足の痛みも今は止んでいた。この世界でなら煙草も先輩も必要ではない。私のための世界だ。  動きの鈍い足を引き摺って、二年ぶりに走ってみることにした。足は自然と前に進みだしていた。体が軽く、私は今まで一番心地よく足を動かした。それなのに、世界の雨粒は止まり続けていたにも関わらず、私の頬には雨粒が伝っていた。    あのとき、私がストップウォッチを止めていたのなら、先輩は走ることをやめて、止まってくれただろうか。私の方を見てくれただろうか。  今となっては、それも分からない。
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