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 どれくらい階段を上っただろうか、リイザの手に、冷たくて固い何かが触れた。 「アステ! ここに何かある!」  振り向いても、何も見えない。  ただ真っ黒な世界に二人はいた。  相手の顔どころか、自分の手さえ見えない。それでも確かに、リイザの手は、鉄の棒らしきものを掴んでいる。  近くにいたアステも同じものを見つけたらしく「ハシゴだ!」と声をあげた。  たしかに手探りでそれに触っていくとハシゴのように思える。 「上がってみよう」  リイザは棒を掴んで、見えない踏み桟に足をかけた。しっかり固定されているようで、リイザが体重をかけてもびくともしない。  大丈夫、登れる。  リイザは自分にそう言い聞かせて、ハシゴを登り始めた。そして、何段か進むと、頭をぶつけた。 「あいたっ」 「姫さま?!」 「ちょっと頭をぶつけただけ、ここに丸いハンドルみたいなものがあるの。もしかして、ここが最後の(ゲート)なのかも」  リイザは両手でハンドルを掴んで力いっぱい回した。意外にも、ハンドルは簡単に回った。最後の力を込めて、リイザは(ゲート)を押し上げる。アルテもリイザを手伝う。  そして二人は、重たい(ゲート)を開けた――――。
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