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1 殿下の卒業パーティで逆断罪をくらいました
それは夢のような世界だった。私は綺麗なドレスを着て贅沢な学校に通う。学校には様々なタイプのイケメンがいて私の手を取り、愛を囁いてくれるのだ。
コレが夢でなくて何だろう。
「クラウス公爵令嬢アルヴィナ、今この場において貴様との婚約を破棄する」
その声でハッと目が覚めた。ここは何処、私は誰。
「私はこのヘディ・リールとの真実の愛に目覚めたのだ」
隣の背の高い体格のよい男が私を見る。その瞳は今にも蕩けそうだ。金髪碧眼で何ともキラキラしいイケメンだけれど、この人は誰だろう。
「殿下……」
目の前にいる豪華なドレスを着た黒髪の綺麗な女性が辛そうに呟いた。
(殿下? 殿下って……)
この人、エドウィン殿下?
今日は殿下のリンデン王立魔法学園卒業の日で、ここは式典後のお祝いのパーティ会場なのだわ。私はエドウィン殿下にパーティのエスコートを申し込まれドレスを贈られて、今ここに至る。
一年生でこの三年生の殿下と知り合い、愛を育んで……、いや、結構強引に迫られて、夢でも見ているみたいに流されて──。
エドウィン殿下って王太子様よね。私、王子様と結婚するの?
いや、まさか、無理無理無理。
だって、私は男爵家の庶子だし、魔力があるからって引き取られただけの男爵がメイドに手をつけて産まれた子供だし。
「分かりましたわ、殿下」
目の前の黒髪の美女クラウス公爵令嬢アルヴィナがきっぱりと目を上げる。そして私を扇で指してはっきりとした声で宣言したのだ。
「この女ヘディ・リールは恐れ多くもエドウィン殿下に対し奉り、魅了の術を使っております」
私たちを取り巻く卒業生とその父兄に衝撃が走る。
「ばかな……」
愕然とする王太子殿下と私の前に宰相と近衛騎士団長が出て来て命じた。
「その女を捕らえよ」
ガシャンとハルバードが目の前で交差して『ゲームオーバー』の文字が出た。
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