雨と雷鳴に、香り立つ薔薇と君

5/5
前へ
/5ページ
次へ
 評判の美姫、ガートルードが隠し続けていた事実はまたたく間に広がり、社交界どころか縁組を検討していた近隣諸国をもゆるがす事態になる。  王家曰く「出生のときに、男として育てると早い段階で命を落とすと、占いで示された。タイミングをみて公表する予定だった」とのこと。  すっかり男性の姿となったガートルードは、以前にも増して人々を惹きつける存在となったものの、「すでに心に決めた相手がいるので」とあらゆる誘いを突っぱねて、どこへ行くにも側仕えの黒髪の騎士と一緒に、楽しく王子生活を満喫している様子であった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加