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「ねぇ……孝太郎……。本当にするの……?」
真鍋 要は不安を隠せないまま、目の前の恋人――宮藤 孝太郎――を見つめるけれども、彼と視線が交差することはなかった。
生まれつき色素が薄く、アンバーカラーの髪の毛、幼さの残るくっきりした二重の大きな瞳を、茶色いまつ毛を震わせながら要は不安気に揺らしてみるけれど――。
「俺たち付き合ったんだろ? ヤるだろ。当り前だろ」
「でも、俺……」
戸惑いの音を言い募ろうとするけれど、その様は孝太郎を怒らせてしまったようで、すぐに舌打ちが飛んできて縮こまるしかない。
(だって、今日付き合ったばっかなのに、いきなりこんな――)
「何かまととぶってんだよ。お前が好きだって言ってきたんだろ?」
「そうじゃなくて……。付き合ったの今日だよ……?」
尚も言い淀んでいると、孝太郎はイライラを隠す様子もなく要の腕を強引に掴んで歩き出そうとするから、思わず足に力がこもる。
「いいから、こっちこい」
言いながら孝太郎は要の腕を引きずって、無理矢理浴室に向かおうとするから、足に込めた力を身体中に込めてみるけれど、それ以上の力が要を捕らえて。
漆黒の髪がサラサラと耳にかかり、鋭い一重の瞳から連なる鼻梁に薄い唇は、一見冷たそうな印象を与えるが、要に接してくれていた孝太郎はずっと優しかったはずだ。
はずなのに――。
「脱げよ」
「っ……」
要が顔を真っ赤にしながらジーンズを脱いでいく。
「下着も脱げよ」
「孝太郎……恥ずかしい……」
「さっさとしろ」
孝太郎の言葉に涙目になりながら下着を脱ぐ。
「俺は男にはそそられねぇかもしれねぇわ」
要を見つめた孝太郎が吐き捨てるようにそう言うので、要が瞳を潤ませる。
「チッ、泣くなよ、めんどくせぇ。わかったよ、やってやるからケツだせよ」
要が孝太郎に尻を向ける。
孝太郎がシャワーを捻ると、出てきた水圧を要の直腸に注ぎ込んだ。
「んっ」
「気持ちいいのか? 変態」
中を洗い終わると孝太郎はシャワーを捻った。
「よし、挿れてやるからこいよ」
孝太郎が要の手を引いてベッドに乱暴に転がす。
「っ……孝太郎」
下半身を剥き出しにした姿が恥ずかしくて泣きたくなる。孝太郎がいつの間にかローションを持ってきていて、要の蕾に塗り込んだ。
「んっ、ゃ」
「ケツが気持ちいいなんて本当に変態だよなぁ」
そういいながら己の猛りに避妊具をつけローションを纏わせる。
孝太郎の指が要の蕾に進入してくる。
「んっ、こうた、ろ……」
「気持ちいいか? 要」
「こうた、ろ……いきなりこんなの……嫌だ」
「あ? 男同士で他になにすんだよ」
その言葉に返す言葉が見つからなくって要は再び涙目になる。確かに男同士で付き合って、デートなんてすることもないのかもしれない。
でも、もう少し孝太郎と一緒に過ごしてからがよかった。
「挿れるぞ、要」
「孝太郎……やめっ」
恐ろしい質量を伴って狭い入口に孝太郎がねじこまれてくる。
「んんっ、こうた、ろ……」
すぐさま孝太郎が腰を揺すってくる。
「こうたろ、やめっ、やめて」
「うるせぇよ、変態」
涙がこぼれる。
シーツの上に染みを作った。そんなことも孝太郎は気づかない。
「ぁっ、こうた、ろっ……はっ……」
孝太郎が更に腰を強く揺すってくる。
「ん、ゃ……こうた、ろ……」
「要、イク」
そう言って孝太郎が果てて終わった。
最初から最後までどこまでも一方的な行為だった。
要は必死に息を整える。
「孝太郎……好き……」
「俺はどうだろうな」
孝太郎が吐き捨てるように言った。
「そんな……孝太郎……」
「じゃあな、俺、帰るわ。気が向いたらまた」
孝太郎の帰った部屋で要は呆然としていた。
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