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気が付くと、見知らぬ天井が見えた。
「大丈夫ですか? お名前、言えますか?」
白い天井に白い壁、白い衣を纏った人間が私を見つめ返している。
どうやら私は、命の境を越えてきたらしい。
だとしたら、子どもは? 筑士は?
私が助かったのなら、彼もどこかにいるはずだ。その実情を把握するまでは、私の心は落ち着くことは皆無だ。
かすれた声で、そこにいた人物に問いただす。
「子ども、ですか? そういった症状はございませんが」
そんなことはあるはずがない。だが、何度聞いても答えは同じだった。
「じゃあ筑士は? どこですか?」
「その方はどなたか存じ上げませんが、あなたは一人で倒れていらっしゃったところを発見されたんですよ」
一体どこへ消えてしまったというのか。別の病院に運ばれたのか、それとも――
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