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「その愛菜ちゃんがどうしたんだよ」
大作は前のめりに聞いてきた。
「実はな・・・」
彬は愛菜との深い関係の事を赤裸々に話した。
二個下の愛菜の事を意識するようになったのは、彬が高校生に入ってからだった。
周りは華々しく高校生デビューしていく中、彬はいまいち抜けきらなかった。むしろ、周りが華やいでいくギャップで、どんどん置いていかれていた。
自分でもその事は感じていた。
しかしどうすることもできず、一年がすぎた時には、彬の周りにはガリ勉かオタクしかいなくなった。一見するとそこの判別は難しい。
入学当時仲良くしていた仲間たちは、やれ彼女だ、やれ他校と合コンだと大いに学生生活を謳歌していた。
楽しくない学校生活だったが、唯一の心のオアシスが愛菜だった。
楽しくない学校から帰ると笑顔で迎えてくれる愛菜。
「お兄ちゃん、高校って楽し?」
無邪気に聞いてくる愛らしさが何よりも新鮮だった。
「お兄ちゃんに彼女ができないなら、できるまでなってあげる」
そんな言葉から二人の関係は始まった。
高校2年生の夏、初めて口づけを交わした。
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