姉と弟

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姉と弟

姉さんは世界で七人しかいない大賢者のひとりだ。大賢者の長老ケジジさまが認めるほど魔法の能力に優れている。 100年にひとりの天才と言われる魔法設計力により、新たな魔法を次々に生み出し、魔法界に革命をもたらした。しかし、そんな姉さんが異世界に通じるゲートまで作ってしまうとは…。何が姉さんをそんなに駆り立てるのか? 私は少し恐ろしさも感じ始めていた。 姉さんがゲートを通ってしばらく経った日のこと、姉さんはこの世界に存在しない珍しい物を持って帰ってきた。それらは異世界の品らしい。材質も見たことがない物だ。異世界ではプラスチックと呼ぶようだ。プラスチックは強度があるにも関わらず、とても軽かった。 姉さんは私に柔らかいハンマーをくれた。それはピコピコハンマーと言うそうだ。一体何に使う物なのか!? 姉さんは『ハンマーの形が気に入って持ち帰ってきた』と言いながら、私の頭をそのハンマーで叩きながら笑っていた。 これらが他の大賢者たちに知られるのは時間の問題であった。寧ろ、姉さんは異世界から持ち込んだ物を解析し、この世界で新たな物を作ろうとさえしていたのだから…。 大賢者たちは保守的な集団だ。このままで済むとは到底思えなかった。
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