3人が本棚に入れています
本棚に追加
母の入院期間は、私の受験日程と完全に被さった。
手術を行なう担当医が、最短で空けられる日取りがそこしかなかったためだった。
母に心配をかけさせまいと、私は母となるべく会わないようにした。
母も同じことを考えたのだろう。
母からの連絡もほとんど来なかった。
母の手術は成功した。
私の受験は失敗した。
正確には、第一志望には受からなかった。
受験日の2日前、母は無事に手術を乗り越えた。
勿論、すぐにでも会いに行きたかったのだが、術後の母の負担になりたくなかったのと、試験が近いこともあり我慢した。
受験当日、雨の予報が雪へと変わった。
ポケットにカイロを1つ入れ、カバンには母から貰ったお守りを下げた。
白い毛布のような、雪でシトシトとした道を歩く。
周りの人たちが親付き添いで向かう中、私は1人きりの会場入りだった。
別に、プレッシャーに押し潰されたとかではない。
私の出来も悪くはなかった。
ただ
私は、私自身に負けたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!