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彼と何度か過ごしたあの公園の近くに差し掛かると、ジャングルジムの天辺に人影がぼんやり見えた。
ハッとして思わず駆け寄ると、そこには彼が座っていて、さっき私を見つけた時のような柔らかな微笑みを見せた。
胸が詰まり何も言葉は見つからず、心臓の鼓動を何とか飲み込みながら、冷たい鉄棒を握り締め、一段、もう一段と、彼と星に近付いていく。
彼の膝の上で、小さな猫が眠っていた。
「ねぇ、こいつってルナとアルテミスの子ども?」
彼は、まるで一連の出来事が何もなかったかのように、
あの頃にそのまま戻ったかのように、
人懐っこい笑顔で、隣に座った私に聞いた。
「……ええ。確証はないけど、絶対そうじゃないかと」
私も高ぶる気持ちを必死に抑え、ごく普通を装い、そう答えた。
私の飼い猫『ルナ』と、彼が面倒を見ていた野良猫『アルテミス』
この二匹の猫が、私達を繋いでくれた。
白黒のまだら模様のルナ。
額にミルクティー色の三日月に似た模様がある、白猫のアルテミス。
小さな猫は、額の三日月模様と、脇腹とお尻に黒い模様のある白猫。
間違いないと思った。
「そっかぁ……。えぇっと……それなら名前は……」
彼は嬉しそうに猫の体を撫でながら少し考えて、思い出した! とばかりに私の顔を見る。
「「ダイアナ!!」」
顔を見合わせ同時にそう言うと、私達は、知り合ったあの時と同じように、声を上げて笑った。
☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜
【ルナ・アルテミス・ダイアナについて】
『美少女戦士セーラームーン』
作中に登場する猫の名前。
『ルナ』はメスの黒猫。
『アルテミス』はオスの白猫。
『ダイアナ』はルナとアルテミスの子ども。
共に額に三日月の模様がある。
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