友達じゃいられない

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「じゃあ恋人になる」 「正気?」  想太が勢いよく俺に顔を向けてきた。 「正気。想太を失うくらいなら恋人になりたい。俺、結構お前のこと好きだし。キスもいけたし、なんとかなると思う」 「キスねぇ」  想太が目を細めた。俺を非難するというよりは、何かを考えている顔つきだった。 「なんだよ」 「翔吾、オレの恋人になるって言ったよね?」 「ああ」 「一回試してみようか」 「試す? 何を――」  想太が目をつむって近づいてきた。唇が押し当てられる。舌が俺の口の中を犯していく。  想太はやたらキスがうまかった。腰が抜けて立っていられなくなる。俺の手から傘が落ちた。想太は俺の腰に手を当てるとそのままかがみ込んだ。傘の下に潜るようにしてキスを続けられる。酸素が薄い。頭がぼんやりしてくる。
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