友達じゃいられない

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「明日、翔吾の誕生日だよね。オレが酒を教えてやろうか?」  大学二年生になった四月、学食で想太がからかい半分にそんな提案をしてきた。 「酒、おごってくれるなら」  俺もその軽口に便乗する。 「いいよ。おごってあげる。そのかわり、店だと高くつくから、翔吾の家でもいい?」 「もちろん。片付けとくよ」 「よかった。いろいろなお酒、持ってくね」  想太が歯を見せてニッと笑ったら、近くにいた女子二人組が悲鳴をあげた。 「想太くんって笑うんだ……。笑った顔もかっこいい……」  想太はそんな声など聞こえないかのように、俺に笑顔を向け続けていた。
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