友達じゃいられない

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「は?」  雲行きが怪しくなってきた。想太はなおも話し続ける。 「こんなオレだから誰も近づいてこないだろうと思ってたのに、翔吾は、いともたやすくオレに話しかけてきた。その後もずっと仲良くしてくれた。嬉しかった。友達でいたかった。でも、もう無理だ」  想太がにじり寄ってきて、あぐらをかいた俺の足を挟むようにして両手をついた。驚いているうちに、想太の手によって俺の身体が床に押しつけられる。 「酔ってる?」  少しでもいいから、冗談にしたくて、笑いながら言ってみたが、想太はいたって真剣な顔つきで俺を見下ろしている。 「うん。じゃなきゃ、こんなことできないよ……」  俺の目を、真っ直ぐに見つめてくる。 「何度も諦めようとした。好きになりたくなんか、なかったのに、どうしようもなく好きなんだ」  ぽたぽた。何かが落ちてくる。最初は雨漏りかと思った。でも違う。想太の涙だった。 「好きだ。翔吾。ごめん。本当にごめん、オレ、翔吾のことが好きなんだ……」  涙が雨のように俺に降り注いでいた。 「ごめん。お前のことは好きだけど、恋愛感情じゃないと思う」  やっと絞りだした言葉は、想太の気持ちを拒絶する言葉だった。 「はは。そうだよね。分かった。これからも、友達同士でいよう。今までできたんだから、大丈夫」  想太が笑った。無理をして表情を作っていることは分かったけれど、俺はこの場をしのげたことにホッとしていた。
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