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気が付いたら、夜中の二時を回っていた。どうやらうたた寝をしてしまったらしい。
夕食を食べて、お風呂に入ってから、髪も乾かさずに眠ってしまった。
ベッドから起き上がって、髪の毛を触ってみる。ああ、嫌だ。もう跳ねている。
こころちゃんは帰れただろうか。碧が眠ってしまう前には、まだ帰っていなかった。カーテンをめくってみる。
外が静かなことに気が付いて、窓を開けた。
ああ、雨がやんでしまった。
生ぬるい風が頬を撫でて、碧の部屋に入ってくる。雨の気配はまだ残っていて、碧は少し安心した。
碧は考える。
神楽の気遣い。
大翔のおせっかい。
撫子さんの下心。
こころちゃんはあのケーキを食べただろうか。
そして、碧の記憶。一緒にいる大翔。
碧はベッドを降りて、そっと部屋のドアを開けた。
廊下は暗く、闇に沈み込んでいる。
階段の下からも明かりは漏れて来ないので、誰も起きていないのだろう。
足を忍ばせて廊下を渡り、向かい側の部屋のドアを少しだけ開けてみる。
案の定、大翔はうなされていた。
何かから逃れようと腕を振り回している。時々「ヒッ」と喉が詰まったような音を出していた。
碧はそっとベッドに近づくと、右の手のひらを大翔のおでこに当てた。
すると、大翔は暴れるのを止め、規則正しい寝息を立て始めた。
ああ、よかった。誰にも見つからなかった。
碧はほっと息をつき、手のひらを当てたまま、大翔の横に滑り込む。
碧の一番好きな時間だ。
大翔を助けることができたことに満足し、大翔と二人の秘密を実感できる。
大翔はわたしが守らなきゃ。
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