ふたりの記憶  理想的な家族7ー碧

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 気が付いたら、夜中の二時を回っていた。どうやらうたた寝をしてしまったらしい。  夕食を食べて、お風呂に入ってから、髪も乾かさずに眠ってしまった。  ベッドから起き上がって、髪の毛を触ってみる。ああ、嫌だ。もう跳ねている。  こころちゃんは帰れただろうか。碧が眠ってしまう前には、まだ帰っていなかった。カーテンをめくってみる。  外が静かなことに気が付いて、窓を開けた。  ああ、雨がやんでしまった。  生ぬるい風が頬を撫でて、碧の部屋に入ってくる。雨の気配はまだ残っていて、碧は少し安心した。  碧は考える。  神楽の気遣い。  大翔のおせっかい。  撫子さんの下心。  こころちゃんはあのケーキを食べただろうか。  そして、碧の記憶。一緒にいる大翔。  碧はベッドを降りて、そっと部屋のドアを開けた。  廊下は暗く、闇に沈み込んでいる。  階段の下からも明かりは漏れて来ないので、誰も起きていないのだろう。  足を忍ばせて廊下を渡り、向かい側の部屋のドアを少しだけ開けてみる。  案の定、大翔はうなされていた。  何かから逃れようと腕を振り回している。時々「ヒッ」と喉が詰まったような音を出していた。  碧はそっとベッドに近づくと、右の手のひらを大翔のおでこに当てた。  すると、大翔は暴れるのを止め、規則正しい寝息を立て始めた。  ああ、よかった。誰にも見つからなかった。  碧はほっと息をつき、手のひらを当てたまま、大翔の横に滑り込む。  碧の一番好きな時間だ。  大翔を助けることができたことに満足し、大翔と二人の秘密を実感できる。  大翔はわたしが守らなきゃ。
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