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さあさあさあ、しとしとしと……。
前よりは若干雨脚は弱まったとは感じるが、まだまだ雨は降り続いている。昼間であるためか、雨雲が掛かっているものの、窓から明るく白い光が差し込んでくる。
明かりを一つも付けていない暗い部屋に浮き上がる白い窓枠は、とても神聖なものに見えた。
昨今、電気料金が大幅に値上がりしたため、「僕」は、ささやかな電気代の節約のために昼間は必要最小限以外では一切明かりをつけない生活を送っている。
窓から差し込む天然の明かりの下、「僕」は今一冊の本を読んでいる。
その本は、常に雨が降る中でデートをしている一組の恋人をテーマにした作品だった。
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