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しとしと……。
明かりのついた静かな部屋の中、テレビから流れてくるニュース番組が唯一の賑やかな音源となっている。
今は主要なニュースを全て報道し終え、天気予報のコーナーへと差し掛かっていた。
「次は、明日の天気予報です」
僕は何も感慨も無く天気予報をじっと眺めていた。
「明日はしばらく続いていた雨も上がり、晴天が〇〇地方一帯に広がるでしょう。」
天気予報士の男性の声につられるように窓の外へと顔を向ける。
外は今は真っ暗で、街灯以外は何も目に入ってこない。
しかし、雨の音は気づいたら小さくなっており、この様子なら明日は晴天が空全体に広がっている事だろう。
『雨が晴れたら、きっとキミもワタシも乗り越えていると思うよ』
胸の奥、すでに忘却の彼方に追いやっている記憶の欠片が浮き上がってきた。
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