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僕は茂みを掻き分け、「エサですよー」と呼び掛けてみますが、やはり姿が見えません。
僕は千夜くんに「ちょっと失礼します」とだけ言うと、子犬を探しに体育館裏を離れました。
効率の良さを考えるなら、千夜くんにも手伝ってもらった方が良いのでしょう。
ですが、彼には1年生の時も、当時居た子犬探しを手伝ってもらっています。
僕は出来れば彼の手を煩わせたく有りませんでした。
校庭に出ると、既に運動部の人達が活動しています。
子犬らしき姿は見えません。
それに、仮に子犬が居たら、もっと騒ぎになっていても、おかしくありません。
僕は校舎内にも試しに入ってみました。
廊下をキョロキョロしながら歩いていると。
「鈴木くんじゃないかあ!」
春日部先生に後ろから声を掛けられました。
「あ、先生。こんにちは」
僕が振り返って会釈をすると、先生は上機嫌で僕の肩をポンポン叩いてきます。
「先月の中間試験、全科目100点で学年トップ!流石だねえ」
「ありがとうございます。あの…これから用事があるので失礼します」
「うんうん。キミには期待しているよ」
先生の声を背に僕は一旦、体育館裏に戻る事にしました。
体育館裏に戻ると、やはり茶色と白の毛色の子犬だけ居ません。
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