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「その子、私がここに来る前から校門のところで待っていたのよ。覚えていないのは失礼なんじゃない?メガネくん」
「あ、お姉さん。私は覚えられてなくても良いんです。こうして鈴木さんとお会い出来ただけで」
レイさんはそう言ってくれますが、覚えていないのは確かに失礼です。
「済みません…レイさん…」
「そんな謝らないで下さい。それよりも私、鈴木さんと図書館でデートしたいです」
「えっ!?そんな…困ります。突然、そんな事言われても…」
最寄りの図書館は夕方の5時で閉館してしまいますが、少し遠い大きな図書館なら夜の9時45分まで開館していた筈です。
ですがレイさんは気にしてなさそうですが、もうじき暗くなるのに女の子が外にいるのは危険な気がします。
しかし、僕がその事を口に出す前に千夜くんに半ば強制的に車の後部座席に乗せられました。
「良いじゃねーか、鈴木。女に免疫をつけろ」
「帰り、送っていってあげるのも忘れちゃダメよ」
「お邪魔します」
千夜くんや恭子さんだけでなく、レイさんも乗り気なのが困ったものです。
僕は仕方なく親に帰るのが遅くなると言う連絡を入れることにしました。
数回のコール音の後、母さんが電話に出ます。
『もしもし』
「もしもし…」
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