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いつしか、レイさんを放置し、勉強に夢中になっていた時の事でした。
何やら隣に座っていた筈のレイさんが僕に寄り掛かってきます。
僕は右利きでレイさんが寄り掛かっているのは左腕なので勉強に支障は無いのですが…。
レイさんのふわっとした髪の毛が腕に触れ、ドキッとした僕は思わずレイさんに視線を移しました。
すると…。
「スー…スー…」
レイさんは気持ち良さそうな寝息をたて、眠っています。
僕はレイさんをほっといて勉強ばかりしていた自分を申し訳無く思いました。
ですが、レイさんの寝息にこのままでも良いかと僕は何処か暖かい気持ちでそう思います。
僕は始め、レイさんの笑顔を見たり手を握っただけでドキドキしていました。
ですが、今はこのまま時間が止まれば良いのに…と安らかな気持ちで思っている僕がいます。
僕はそっと笑顔になると、極力左腕を動かさないようにして、勉強を再開しました。
古文、漢文、数学、物理…。
こんなに優しく勉強に取り組んだのは生まれて初めてです。
レイさんの体温を感じながら、僕は勉強を続けました。
「…鈴木さん…」
名前を呼ばれてレイさんの方を見ますが、彼女は眠ったままです。
どうやら僕の夢を見て、寝言を言っただけのようでした。
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