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閉館間際。
そろそろ勉強を終わりにしようと思った僕の耳に雨音が聞こえてきました。
僕は、こんな事も有ろうかとカバンに折り畳み傘を入れています。
只、未だ眠っているレイさんは見たところ荷物を持っていないようです。
色々と不思議な方ですが、流石に雨には濡れてしまうでしょう。
僕はレイさんが雨に濡れないように彼女の家を教えてもらって送って行こうと思いました。
眠っているところ悪い気もしましたが、僕はそっとレイさんを起こします。
「レイさん…レイさん…」
しかし、熟睡してしまったのかレイさんは起きる様子が有りません。
僕はレイさんの頭を撫でてみます。
綺麗な髪がサラサラしていて心地よく、僕まで寝てしまいそうでした。
ですが、そうなる前にレイさんが身じろぎします。
「鈴木、さん…?」
「済みません…せっかくのお休みのところを起こしてしまって…」
「いいえ。こんなに優しく起こしてもらったの生まれて初めてです」
レイさんは僕の腕から頭を起こしました。
腕にまだレイさんの温もりを感じながら、僕は今、思った事を警戒されないようにそれとなく伝えてみます。
「レイさん、外はもう暗いし、この雨です。傘に入って行きませんか?」
「あの、でも、私…」
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