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僕の目から涙が出てきて、メガネに落ちます。
視界不良になり、僕はチャームを握り締めたまま、その場に崩折れました。
「レイさん…!」
月が出ていなくて良かったです。
知っている方たちが居なくて良かったです。
街灯の明かりが暗くて良かったです。
今、この時だけは僕を照らさないで下さい…。
僕はしゃがんだまま、夜の街で泣き続けていました。
それから、1人電車に乗った僕は自宅の最寄り駅まで向かい、歩いて自宅に着き夕食も摂らずに、翌朝を迎えました。
泣き腫らした切長の目を長方形のフレームのメガネで隠し、僕はレイさんがくれたチャームをカバンに着けてみました。
まるで居なくなった子犬が僕の傍に着いていてくれているみたいです。
僕は歩いて学園に向かいました。
校門の前まで来た時のことです。
「鈴木くーん!」
後ろから山村先輩の声が聞こえてきて、僕は振り返りました。
山村先輩がカバンを持ったまま、僕の方へと走ってきます。
「おはようございます、山村先輩。風邪、1日で治ったみたいで良かったです」
「おはよー!うん!お医者さんのくれたお薬飲んで寝てたら今朝になって熱が下がってたんだー。…って、あれ?」
山村先輩は、僕のカバンに目をやりました。
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