期待の代償

3/3
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
「何してるんですか。勝手に入ったら怒られますよ。」 急に耳元で聞こえた声に、ドキリとする。 「いい加減目を覚ませ。咲は死んだんだ。」 「死んだ?何言ってるの?咲はここに居るじゃないですか。」 妻は、またも何もない空間に目を向ける。 「咲は高校でも成績トップ。私の自慢の娘。そうじゃない娘なんていらない。存在しないのよ。」 妻の声は次第に怒気を含み、表情は歪んで見えた。まさか、咲は自殺じゃなくて、妻が······。 混乱し、何も言えずにいると、初めて背後の娘と目があった。 すると、妻の首がグニャリと真後ろを向き、バキッと変な音が部屋に響いた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!