百二十八話

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百二十八話

 シシリアの森を抜けて領地に戻る、私達の目の前に白いドラゴンではなく、真っ白な長い髪と赤い瞳のキラキラした美形がいた。 (あの人の周りがキラキラ……光っている) 「ユキ、どうした?」 「どうしたのですか?」  サタ様とアール君はユキと呼び近寄った。そのキラキラさんの肩の上にはラッテさんがいる。やはり白いドラゴンの人か……サタ様の人型と同じくらいの美形だ。  そのキラキラさんは黒モコ鳥のサタ様に跪き。 「我が主人、サタナス様? これはまさしくサタナス魔王様。おお――!! 生きていらしたのですね、お久しぶりです」  と、ユキさんは真っ白な鎧を身につけた。  そして、キラキラさんはさらに光をまとった。 「おいおい、正装などする必要ない。ワタシはもう魔王ではないのだぞ!」 「いいえ! 我らにとって、あなた様はまだ崇敬(すうけい)するに値するお方です。あなた様以外、いない!!」 「そうか?」 「そうです! またあなた様にお会いできてユキは幸せです。また側でラッテと共に守らせていただきたい!!」 「うむ、頼もしいな」 「ありがたきお言葉!」  ……うおっ、サタ様が押されてる。キラキラさんなにやら熱い? 熱血キラキラさんは嬉しそうに、キラキラした涙をハンカチで拭いていた。  まあ、なんと言うか……見た目だけは乙女ゲームに出てきそうな人かも。   「ユキ、ワタシ達に話があるのではないのか?」 「そうでした、皆様に聞いていただきたいことがあります」    みんなは食事をとる大テーブルに移動した。  私はその近くでアイテムボックスからテーブルを取り出して、レンモンのシュワシュワを用意することにした。 「シュワシュワ? アビも手伝う」 「ほんと、アビス君ありがとう」  ママに教わって出来るようになった氷魔法で、小さな氷をボールにたくさん出した。畑を開いて赤い実を収穫して、魔法水と氷が入ったピッチャーでシュワシュワを作る。 「プププ。このプクプクの泡、毎回見ても面白いね」 「でしょう、面白いよね」  出来上がったシュワシュワにレンモンの果汁を縛り、みんなの愛用のコップに入れて、最後に輪切りのレンモンをいれた。 (シュワシュワもいいけど、コーラが無性に飲みたくなる。前世でクラフトコーラがあったから、私でも作れるのかな?)  後で料理博士にレシピ聞いてみよっと。 「エルバちゃん、アビ、運ぶね」 「ありがとう、お願いします」  みんなはテーブルに集まり、真剣な顔で話していた。  私もサタ様の横に座り話に参加する。ふむふむ――ここがわかったのは、相棒のラッテさんの魔力を辿ったのか。 (魔力を辿るとか、サタ様の魔力を感じたとか。みんなのこう言うのがすごいよね……私にはできないけど)  小さく、ため息をついた。 「エルバ、これからずっと共にいれば、自ずとも分かるようになるぞ」 「え?」 「そう考えていたであろう?」  ――うっ、またサタ様に心を読まれた。 「もう……そうなれると嬉しいかも」 「エルバなら、なれる」 「エルバ様なら、きっとなれます」  嬉しいこと言ってくれるんだから。 「クク、話を中断して悪かった、ユキ続けてくれ」 「はい」  ユキさんの話は人里に魔族の村があるとのこと。旅に出る前により、そこの人々に優しくされたと話したユキさん。  旅も終えてこちらに戻るさい村によると、村の人々は前と同じく優しくされたが……みんなは何かに怯えているようだった。そしてユキさんに何処か、人がいない場所を聞いてきたようだ。 「なんでも、アルクスの王都に聖女が現れたみたいなんだ」 「なに聖女だと?」   「「聖女⁉︎」」  みんなの驚く声が領地に響いた。
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