百二十九話

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百二十九話

 聖女――と言えばこ。アマリアさんを思い出したが、彼女は私が思う、清楚の聖女と少しかけ離れているように感じた。  だけど、この世界は小説の世界ぽいから、彼女は一応聖女なのだろう。  ヌヌを助けるときに見た彼女。パワー様の時に見た彼女は、モサモサ君とローザン君の周りで、ただ空回りしているようにも感じた。    ――その彼女に聖女の力が発現した? 「うむ。聖女か――だとすると、王都にいるローザンから来た手紙も、同じ内容が書かれているのかもな」 「うーん、そんな気がしてきたかも。サタ様、ローザン君の手紙を読んでみましょう!」 「ええ、読んでみましょう!」  私とアール君に催促されて、サタ様は手紙を開き。内容を一通り読んで首を傾げた――これが聖女? なのかな? と言って。  読ませてと、サタ様から手紙をもらい読んだ私も首を傾げた。手紙の内容は――学園のみんな、先生達が彼女を祭り上げ、彼女を聖女と言い出した。  多分、多分だけど……魅了魔法のせいかな?  グルナとボクにはまったくかかっていが。  彼女の熱視線がさらに増して、前よりも近付いてくる。グルナに至っては怯えてキキから離れなくなった。  そんな彼女から悪魔の気配を感じた……ボクの魔王としての監視能力がないせいだけど。無理やり魔法で魅了魔法を解くと、人間に悪影響を及ばす。このままいけば王都中、国中、彼女の魅了魔法に飲み込まれそうだ。サタナス様、エルバ、アール、一度見にきて欲しい。  追伸。友のグルナ、精霊のキキと話した。彼も賛成していて、しばらく、ここからキキを連れて逃げたいです。 「ひぇええ⁉︎ モサモサ君とローザン君が逃げたい? な、な、なんなのこの手紙の内容は? あの子が悪魔を呼び出したって?」 「うむ。その様な内容だな……ワタシが魔王の時に配下に悪魔族はいたが優しい連中らばかりだった。多分、あの子が悪魔召喚したのだろうな……」 「悪魔召喚? そんなこと出来るの⁉︎」  私だけ驚き、みんなは"ウンウン'頷く。 「出来るぞ。ワタシの時はそんなことしようものなら、魔法陣ごと破壊してやった……新魔王ローザンは今、人間の世界にいるから止められなかったのだな」 「この話だと、普通の人間にはかかるが。力の強い者にはかからぬようじゃな」 「アビ知ってる、人間って操作系の魔法に弱いからね」   「そうでござるな。人間界のことは――拙者どうでも良いでござるが。仲間が困っているのは見過ごせないでござる」  ラッテさんの意見に、みんなは賛成。  サタ様も頷き。 「ワタシとエルバ、アールは王都に向かう」 「ソーロ家族、アビスはここに残り。パワー、ユキ、ラッテはその魔族の村に行ってくれ。あと1人――ヌヌ、ヌヌ来い!」  そのサタ様の呼びに答えて、ヌヌが魔法都市からドスドス駆けてきた――あれ? ちょっと見ないうちにぽっちゃりした? 「サタ様、呼んだ? ヌヌだよ」 「……ヌヌ、見ない間に逞しくなったな。どれだけまったりして、美味いものを食べたのだ?」  ヌヌはニッコリ笑って。 「えーっとヌヌね、新作の味見係まかせられたの? ヌヌが美味しいって言った商品が人間界で爆売れだって、みんな人間界で布、本、家具、たくさん買えて嬉しいって言ってた。この首のリボン、カッコいいでしょう貰ったの」 「「「はぁ⁉︎」」」  首のお肉で見え隠れする、青いリボンを見せた。
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