百三十話

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百三十話

「ヌヌ、よく似合っているぞ、よかったな」 「ありがとう、サタナス様! ボクも役に立ててるよ〜」  少しポッチャリ体型だけど尻尾を揺らして、サタ様に褒められて喜んでいるヌヌは可愛い。それに、ヌヌの味覚がいいのは気になる、新作の料理を本番で出すより……ヌヌに味見してもらいたい。  今、パスタにハマっていて、スープスパとか、カルボナーラ、ミートスパ、ナポリタン!   たまに焦がしたり、味付けの失敗もしている。  まあ、サタ様とアール君はなに言わず「美味しいって」食べてくれるけど。絶対、辛かったり、塩っぱくて、おかしい味付けの時があると思う。 (私のわがままを聞いてくれて、忙しいなか狩りと護衛を頑張ってくれるから――美味しいものを食べてもらいたい) 「ヌヌ、味見で何が一番うまかった?」 「え〜あのね〜ボクの1番はたこ焼き! 丸くて外はカリカリで中はトロッとしていて、もう何個でも食べれちゃう!」  ヌヌの意見にサタ様は頷き。 「うむ、あれは面白くて美味いな」 「外はカリカリ、中はトロトロ、また食べたくなりますね」 「アビはピザがいい! とろーりとしたチーズが好き」 「わかる、チーズは美味い。両親も兄妹も気に入ってるし、エールのアテにもなる」 「拙者はおにぎりが気に入ったでござる。あの赤くて酸っぱいウメメは最高!」 「ウメメはいいな。ここでの料理はなんでも美味くて、食べ過ぎてしまう」  ハハハ――!! みんなの笑いと一緒にアウドラム家族、ゲンさんも喜びの雄叫びをあげた。 「エルバが伝えた料理はここで姿を変えて、面白くもなり、美味しくもなる」  美味しいの言葉は、とても嬉しい! 「ありがとう! みんなに喜んでもらえてよかった! これからもたくさん作るね!」  パパとママもやって来て、楽しい晩餐が始まった。  今日はコロ鳥のオムライスと、コーンスープ! 後は買ってきた――たこ焼き、お好み焼き、ピザ! サラダは畑に実っているもの、エルバの畑から収穫したものだ。 「「「いただきまーす!!」」」 「ここの酒は美味い」 「炊き込みのコメを持ってきたぞ!」 「俺様が狩った、肉を焼こう!」  いつも夕飯とき、知らないうちに魔法都市から人がやってきて、毎日が食べて飲んで騒ぎ踊る宴会状態。その後みんなは、出来たばかりの露天風呂へと向かっていった。  サタ様とアール君もみんなと露天風呂に行ったから、今日はそのまま雑魚寝かな? 彼は露天風呂の隣に体育館くらいの大きさの、魔法防御バリバリの建物を建てていた。そこで毎夜、男どもは"枕投げ合戦"を繰り広げている。  「エルバ、片付けしましょうか」 「うん、ママ」  ママと、ソーロ君のお母さんとであと片づけを終えて、私は1人、自分のテントに戻りお風呂を楽しむ。 (ベッドは1つ、トイレも一つ、今日は猫足バスタブにしてください!)  バスタブの横で鬼人産のラベンダーの石鹸、シャンプーとリンスを使い、まったりお風呂に浸かり、ベッドで本をしばらく読んで眠るが……朝目覚めると、サタ様とアール君が同じベッドで寝ていた。 (2人とも帰ってきたのか……あ、サタ様の頬にキズ? アール君も?)  彼らは毎夜――どんな枕投げ大会を繰り広げているのか? 危険だから、サタ様に「危ないから来るな」と言われているけど、魅了魔法の問題が解決したら、今度見学に行こうかな?
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