百三十一話

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百三十一話

 翌朝。私とサタ様、アール君はアルクスの王都にモサモサ君と手紙をくれたローザン君に会いに行く。そろそろキバナの精霊、キキさんの解毒薬がいるのでそれも作った。  ユキさんが伝えた。魔族の村の方にはパワー様をリーダーにユキさん、ラッテさんとヌヌが行くことになった。  サタ様曰く、村全体の大移動になるかもしれないし。人間、知らない悪魔がいても、パワーの魔法とヌヌの力でなんとかなる。ユキとラッテも実力者だから安心だと言った。  領地に残るアビス君、ソーロ君の家族はみんなと力を合わせ、家を数軒建ててもらうことにした。それは……露天風呂の横に建てられた枕投げの会場。しっかり防御の魔法がかかっていたのにも関わらず――今、半壊……修理中で立ち入り禁止らしい。 (昨夜、お酒も入ってたし、思い存分に暴れたのかな?)   「みんな、よろしく頼むぞ!」 「「おう、まかせろ!」」 「お弁当を作ったから、持っていってね」  早朝、ママとソーロ君のお母さんとで、おむすびと唐揚げ、卵焼き、焼き魚、焼き鳥――もうたくさんのおかずを作り、重箱3段に詰めた。領地に残るみんなのご飯は、鬼人さん達が魔法都市から来て作ってくれるので安心。 「いい匂い。エルバ、ママさん達ありがたい!」 「助かるでござる」 「ありがたき幸せ」 「やった! ヌヌの好きなオカズばかりぃ〜!」  サタ様の合図で、みんなは自分に任せられたことを開始する。パワー様とヌヌ、ラッテさん達はユキさんの案内で、人間の国にある魔族の村へと向かっていった。 「エルバ、アール、アルクスの王都へ行くぞ!」 「はい! 行きましょう!」 「エルバ様、サタ様、まいりましょう」  私達も、サタ様の転移魔法でアルクスの王都に向かうまえ、見送りに来たパパとママに抱きついた。 「パパ、ママ、行ってきます。何かあったら、フクロウで手紙を送るね」 「エルバ、危ない事をしないように! 気をつけるのよ」 「1人での行動は控えて、サタナス様とアールに任せなさい」 「はい! わかってます」 「サタナス様、アール、エルバを頼みます」 「目を光らせ見張っておく」 「まかせてください!」  サタ様の転移魔法で、アルクスの王都近くの原っぱに到着した。まず先にキキさんへ解毒薬を渡そうとみんなで話して、王都内にある学園に向かうことにした。  ギルドカードで王都に入るが、王都内が中世風の落ち着いた感じとは違い……様変わりしていた。ん? あの人が門番に提出したのって、アマリアさんのイラストが入ったギルドガード? 「な、な、なにアレ⁉︎」 「すごいなぁ……」 「すごいですね」  門をくぐって、すぐに見えたのは聖女様誕生の垂れ幕?  聖女様のグッズにお土産?  ドレス、タキシードの上に、聖女様のイラスト入りピンクの法被を着込み、ハチマキを付けたミスマッチな貴族?  聖女様のアイドル風のポスター?  ヒェ――! アマリアさんがアイドルになってる⁉︎
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