百三十六話

1/1
前へ
/163ページ
次へ

百三十六話

 翌日。冒険を終えて王都に戻ってきた、ローザン君とモサモサ君がキキに話を聞いて、私達がいるテントにやってきた。ちょうど朝食中の私達はジャガイモのガレットを食べながら、彼らと話をすることにした。  リリスの話をサタ様がすると、2人は。 「ええ! 1ヶ月以上もあの子はあのままで、王都もこのままですか」  ローザン君は驚き、モサモサ君は頭を抱えた。王城の中でも彼女の魅了魔法にかかった者がいて。面倒ごとになっていると、モサモサ君は指を使い魔法文字を書いた。 「そうか。なら、2人はまもなく夏休暇に入るのだろう? 王都に居なくてもいいんじゃないのか?」  モサモサ君は王子だが現王妃に嫌われていて、おかしな王城にいたくない。ローザン君は夏休暇の間は魔王城に帰ってもいいだろうと、カリカリのガレットを食べながらサタ様は話した。 「僕は魔王城に帰ればいいのですが、グルナを置いていけませんが……魔王城には連れていけない」  サタナス様を倒したと伝わる、勇者の末裔のモサモサ君を魔王城に連れて行くと、周りがざわつくローザン君は話した。 「でしたら夏休暇中は冒険者を続けるか、エルバ様の領地で羽を伸ばすのもありです」 「「エルバさんの領地?」」  それはいいかも。ローザン君とモサモサ君も神様仕様のテントで、私たちと寝起きすればいいし。ご飯だってみんなで作れば困らないから、2人は羽をのびのび伸ばせる。 「うん。まだ名前は決まっていないけど、魔法都市の近くに造ってるの、来る?」  行きますと言ったので、キバナの精霊キキさんも連れて、サタ様の転移魔法で領地へと戻ったが。お昼過ぎだからか、みんなは好きな場所でお昼寝中らしく誰もいない。  ――新しい建物が増えた?  ほんの数日開けただけなのに……酒蔵が増え、枕投げ会場がさらに立派に建て直されていた。 (うわぁ、枕投げが楽しいのはわかるけど……どれだけ、みんなは枕投げ好きなの!)  その建物を見たサタ様とアール君は。 「おお、建物に強力な強化魔法が何重にもかけられてるぞ!」 「これなら、ちょっとやそっとでも壊れませんね」  瞳を輝かせた。    隣の露天風呂には脱衣所と木製の滑り台⁉︎ ……中央近くには、外でみんなで食事を摂れる場所に大きなテーブルと。近くに調理スペース。前より3倍くらい広くなった畑と果物園。住居スペースにも家が数軒立っていた。 (いいね、いいね! 楽しいこと優先でいいじゃない!)  私はウキウキ領地を見渡して、自分のスペースに神様仕様のテントを立てた。 「キキさんの木を植えるのは、領地の中央がいいかな?」 「うむ。そこがいいな」  領地の中央に、キバナの木のタネを博士に貰って植えた。「ありがとう」とキキさんが舞うように実りの祈りを捧げると、そのキバナの木は芽を出して、すぐに立派な大木に育つ。 「すごい魔法!」 「流石だ」 「素晴らしい魔法です!」   「そうかな? エルバちゃんが届けてくれる解毒薬のおかげで。木の根に染み込んだ毒が解毒できて、魔力を貯めることができる様になったわ」  キキさんは「みんなへ感謝の舞」そう言って、キラキラと笑いながら踊った。
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!

469人が本棚に入れています
本棚に追加