百四十二話

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百四十二話

 翌日の早朝。ママと魔法都市の大魔女ミネルバ様が大量のベラドナのピンクの花と共に、サタ様が張った転移魔法で巨木の近くまでやって来た。  ママは、巨木近くにいる私達を見つけるとミネルバ様の手を取り、ゆっくりとやって来て巨木を見上げた。久しぶりに会う、ミネルバ様のお腹はふっくらしている。 (願っていた、お子様が出来たんだ) 「ミネルバ様、ママ、おはようございます」 「おはよう」 「おはようございます」 「おはよう、みんな元気みたいね」 「おはようエルバ、サタ様、アール君。ここが魔女の家なの?」 「はい。サタ様が触るなと言ったので、見つけた時のままの状態です」 「その対応はいいわね」と頷いて、ママとミネルバ様に伝えた。ミネルバ様は自分の杖を取り出すして。 「じゃ、魔女の最後の言葉を聞いてくるわ」  「えぇミネルバ、臨月前の大切な時なのに悪いわね……これはあなたにしか出来ないから」 「カルデア、気にしないで。私は平気よ、お腹の子もすくすく元気だから」  ニッコリ微笑み、ミネルバ様は巨木の穴の中に入って行った。しばらくして、ミネルバ様が穴から戻ってくる。 「この巨木の穴は魔女の家の入り口ね。中に部屋があったわ」 「そうなると、魔女の家をこの巨木が飲み込んだのかしら?」 「そうみたいね。魔女はここで長い年月もの間、この場所で唯一の友のために、この木を巨木まで成長させる研究をしていたようね。カルデアの考えの通り、年月と共にこの木は大きくなり、彼女の家を飲み込んだ」 「凄いわ、どれだけの年月をかけたのかしら?」 「約200年と言っていたかしら? そして、魔女は全ての研究を私達に任せたいと。このナッシシの木に実をつけて欲しいと願いました」    ナッシシの木? 「まあ! この巨木、ナッシシの木だったの? その魔女が研究を続けて欲しいと願われたということは。魔女が残した研究書、魔術書、全てのものに私達は触れてもいいと言うことね」   「えぇ。そう言い残して、ここの魔女アーリーは魔力を使い果たして空に昇ったわ。さぁカルデア、周りにベラドンナの花を撒きましょう」  そう言うと、ママたちは魔法を使い巨木の周りにベラドンナの花を散らした。魔女は1人を好む、1人で好きに研究を重ね、1人でこの魔女のように寿命を全うする者もいる。 「ねぇママ、どうして? その花を蒔くの?」   「エルバ、この花はね。ここに1人の魔女がいたという証と。魔女、魔法使い達にこの場所へ入れるとも教えているわ。もし、誰にも知られなくないと言われたのなら。入り口を魔法で閉じて、ベラドンナの花を植えるの」  私達は。他ところにいる多くの魔女は見つけれはしないが、見つけたのなら。その者に話を聞いて研究を受け継ぐか、全て消してしまうかを聞く。その力をミネルバ様は持っていると、ママは家に向かったミネルバ様を見送った後、私たちに教えてくれた。   (この巨木、ナッシシの木だったのかぁ。とてつもない大きな、ナッシシが実りそう)    博士この巨木は野生それとも、作られたもの? 《この巨木は野生のナッシシの木を、植物魔法で大きく育てたものです》  植物魔法?  野生なら、タネがもらえる? 《はい、エルバ様に種を渡すことができますが。巨木のナッシシの種ではなく、野生のナッシシの種となります》  それでも欲しい、ナッシシのタネをちょうだい。私はタネをもらい、エルバの畑に植えた。  
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