百四十九話

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百四十九話

 サタ様とアール君と一緒に北のカルルの原っぱへ、カレーを作るための、ククミンを採りにきている。しかし、私たちの前に勇者結界が張ってあった。  その先には300年前、勇者と魔王が最後の戦いをした場所で――その場所に前魔王サタナスの愛剣、黒剣がある。    いまサタ様が、この結界を破壊しようとしていた。   「エルバ、アール。魔力を使うから、ワタシの側から離れてくれ!」   「わかった」 「わかりました」  サタ様は私たちが離れたのを見て、省エネのモフモフの黒鳥から、長い黒髪の前魔王へと姿を変えた。そして右手を結界の前に出し、魔力をため黒玉を生みだした。  いま、サタ様の手の中にある黒い球が私には少し、気味悪く感じて、体が拒否する。 「うっ、吐きそう……」 「すまぬ、エルバ! ワタシたちは他の魔物より、体内に多くの瘴気をためている。いまそれを解き放った……エルバにはタクスの娘。多少、瘴気耐性があるだろうが、ワタシの強い瘴気にあてられ体が拒否したのだな。いつもは気をつけていたが、少し我慢してくれ」  ――だから省エネ、黒モコ鳥の姿だったの? 「エルバ様、ボクも魔物ですが……瘴気はほとんどありません。ごめんなさい、もう耐えれません」  パタンと、その場に倒れたアール君。 「アール君⁉︎」 「すまぬ……結界を壊したら、瘴気に耐えれるよう魔法をかけてやる」  サタ様は手の中には魔力をためた、黒玉を結界へと向けて放った。勇者結界にヒビが入り、バリバリ、バリバリ音を立てて粉々に崩れ落ちる。 「いま。アール、エルバに瘴気に耐えれるよう魔法はかけた。ワタシは剣を回収する。エルバはすぐ、ククミンを探してくれ」 「はい、すぐに探します」 「ボクも手伝います」  カルル原っぱの中へと、足を進めるサタ様のあとにアール君と続くが。結界の中は暗い霧状のものが渦巻いており、その中にサタ様の黒い剣を守るようにして、黒龍が私たちを見下ろしていた。 「ひぇ、黒いドラゴン⁉︎」 「エルバ、大丈夫だ。ワタシの剣の化身だ! 愛剣、黒剣、ワタシが迎えにきたぞ!」  サタ様が手を広げ、ドラゴンに話しかけた。  話しかけられた黒いドラゴンは、サタ様を見て。 〈主人? あぁ我が主人――サタナス様、お待ちしておりました〉  深く、深く頭を下げた。
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