百五十五

1/1
前へ
/163ページ
次へ

百五十五

「焼きたてのピザ、おいしかった〜」  美味しいピザに満足して、お腹が膨れた私はゴロンとベッドに寝転んだ。やはり新しい植物の発見と、効能を知れるのは嬉しい。もっともっと冒険に出て、博士に聞いてこの世界の植物を発見したい。 「まだまだ、やりたい事はたくさんある。――そうだ、みんなが嫌いな、ポーションをいちど作ってみよう!」  確か材料は――ククミン、タタメリック、コリアンダダを魔法水で、魔力を加えながら煮込むと言っていた。今日はみんなピザでお腹は膨れているだろうし、カレーは明日作ろう。  そう決めて、寝ていたベッドから体を起こした。    エルバの畑で収穫したククミン、タタメリック、コリアンダダを、魔法水を沸かした鍋に入れて煮込んだのだけど。なんともいえない香りが、テントの中に充満した。 「んん? ほんとうに、これがポーション⁉︎」  色はなんとなく、タタメリックのお陰でカレー色。だけど……パクチーとか、色々混ざった独特の香りがする。回復するポーションだから、これを飲めと言われても正直飲みたくない。  一応、博士に聞こう。  博士、これ……ポーションなの? 《はい、ポーションです。エルバ様の畑で収穫した、ククミン、タタメリック、コリアンダダを使っているので回復は最大となります》  最大回復かぁ。  ほんとうにポーションなんだ。私、パクチー苦手だし、飲まなくてもいい……あ、ダメダメ! ポーションの味を知るためには、まず味見はしなくちゃね。  覚悟を込めて私は煮込んだポーション? らしきものをコップに注いだ。かすかにパクチーも匂いがする……苦手だけど。 「いくぞ、ポーション飲むぞ……」  いっきにポーションを流し込んだ……わぁカレー水? いや苦い? ピリピリ? が合わさった変な味がする。    これ、みんなが苦手なのがわかる。全体的に体力が削られる味だけど、やはりポーションなのだろう。 《エルバ様の体力が最大値まで、回復いたしました》  と博士が言った。  ――良薬口に苦し、とでも言うなかなか。 「うーん。カレーを作るのに必要なスパイスだけど、もしかして量に問題ありじゃない?」  それと葉の部分はやめて、スパイスだけ煮込めばいいとか? 自分で作った"ヤバいポーション"をいちおう容器にしまい、もう一度ポーションを作ることにした。 「今度は魔法水を沸かしたら、味見しながらスパイスを入れてみよう」  そうすればカレー味のポーションらしきものが、できたりして。
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!

469人が本棚に入れています
本棚に追加